2025.08.16

【完全ガイド】木造老人ホームのメリット・デメリット|費用・法律・補助金まで解説

老人ホームの建設を計画しているが、どんな構造が良いのだろう?」
「最近よく聞く『木造の老人ホーム』は、鉄骨造と比べて何が良いの?」
「木造だと火事や地震が心配だし、コストも高そう…。実際のメリットや法律の基準はどうなっているんだろう?」

老人ホームの建設計画を進める中で、建物の構造選びは、事業の成功を左右する極めて重要な決定事項です。従来、老人ホームといえば鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)が主流でした。しかし、近年、国の後押しやSDGsへの関心の高まりを背景に、入居者様の心身の健康や快適性を追求する観点から木造の老人ホームが大きな注目を集めています。 その一方で、安全性やコスト、法規制といった専門的な情報が不足しているため、具体的な検討に踏み出せないでいる事業者様も多いのではないでしょうか。

この記事では、南日本ハウスが木造の老人ホームがなぜ今選ばれているのか、その具体的なメリット・デメリットから、建設コスト、関連法規、補助金の活用に至るまで、あらゆる角度から徹底的に解説します。

この記事を読み終える頃には、木造の老人ホームに関する全ての疑問が解消されます。そして、コストパフォーマンスに優れるだけでなく、入居者様、ご家族、そして職員の皆様にとっても理想的な環境を創出する木造老人ホームという選択肢の価値を、深くご理解いただけることでしょう。

老人ホームの建設や建て替えを検討中の社会福祉法人・医療法人の経営者の方、施設の設計や運営に関わるご担当者様はぜひ最後まで読んでみてください!

◆なぜ今「木造 老人ホーム」が注目されるのか?◆

これまで老人ホームといえば鉄骨造やRC造が一般的でしたが、今、その常識が大きく変わろうとしています。木造老人ホームの採用事例は全国的に増加傾向にあり、それは単なる流行ではありません。時代の要請とも言える、明確な社会的背景が存在するのです。

〇国が後押しする「木造 老人ホーム」の建設

木造の老人ホームが注目される最大の理由の一つが、国の積極的な後押しです。政府は、日本の豊富な森林資源の活用や林業の活性化、脱炭素社会の実現を目指し、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」などを通じて、建築物の木造化・木質化を強力に推進しています。 老人ホームを含む社会福祉施設もその対象であり、木造で建設する際には様々な補助金制度で優遇措置を受けられるケースが増えています。 これは、事業者にとって初期投資を抑える大きなチャンスであり、木造老人ホームを選択する強力な動機となっています。

〇SDGs・脱炭素社会と「木造 老人ホーム」の親和性

企業の社会的責任が問われる現代において、SDGsへの貢献は事業価値を測る重要な指標です。木造老人ホームの建設は、この点において非常に高い親和性を持ちます。木材は、製造・加工時のエネルギー消費量が鉄やコンクリートに比べて格段に少なく、建設時のCO2排出量を大幅に削減します。 さらに、木は成長過程でCO2を吸収・貯蔵するため、「炭素の貯蔵庫」とも呼ばれます。「木造 老人ホーム」を建てること自体が、地球温暖化対策に直接貢献し、企業の環境に対する姿勢を明確に示すことに繋がるのです。

◆利用者と経営者に優しい「木造 老人ホーム」のメリット◆

木造の老人ホームが選ばれる理由は、社会的な要請だけではありません。そこには、入居者様、職員、そして経営者の三方にとって、具体的で大きなメリットが存在します。ここでは、心と身体、そして経営にも優しい木造の老人ホームの多角的なメリットを詳しく解説します。

メリット①:入居者の心と体を癒す「木造 老人ホーム」の空間

木材には、人の心と身体に良い影響を与える力が科学的にも証明されています。「フィトンチッド」と呼ばれる木の香り成分には、血圧を下げ、脈拍を安定させるなど、心身をリラックスさせる効果があります。 木の温かい手触りや美しい木目は、視覚的な安らぎを与え、ストレスを軽減します。 また、木材は湿度が高い時には湿気を吸収し、乾燥している時には水分を放出する「調湿効果」を持っているため、施設内を快適な湿度に保ち、カビやダニの発生を抑制する効果も期待できます。

メリット②:コストと工期で選ぶ「木造 老人ホーム」の経済性

木造の老人ホームは、経営面においても大きなメリットがあります。一般的に、木造は鉄骨造やRC造と比較して、坪単価を抑えられる傾向にあります。 これは、木材が軽量であるため、建物を支える基礎工事を簡略化でき、コストを大幅に削減できるためです。 また、工場で部材を精密に加工し、現場で組み立てる工法が主流のため、現場作業が効率化され、工期を大幅に短縮できます。 工期が短縮されれば、人件費や仮設費用が削減できるだけでなく、施設の早期開業による事業収益の早期化も実現します。

メリット③:設計の自由度が高い「木造 老人ホーム」のデザイン性

木材は加工性に優れており、鉄骨造やRC造に比べて設計の自由度が高いという特長があります。 柱や梁といった構造体をデザインの一部として見せる「現し」の設計や、優美な曲線を取り入れたデザインなど、画一的ではない、温かみと個性に溢れた空間を創造することが可能です。 「施設」というよりも「我が家」のような安心感のある空間は、入居者様のQOL(生活の質)を高めるだけでなく、ご家族や地域の方々が訪れやすい雰囲気を作り出します。デザイン性の高い快適な職場環境は、職員の満足度向上や優秀な人材の確保という面でも、大きなメリットとなります。

メリット④:税制上有利な「木造 老人ホーム」の減価償却

経営上の見逃せないメリットとして、税務上の利点も挙げられます。建物の資産価値を税法に基づいて年々経費として計上することを減価償却と呼びますが、この計算の基となる法定耐用年数が、木造の福祉施設(事務所用)は22年と定められています。 これは、RC造の47年や鉄骨造(骨格材肉厚4mm超)の34年と比較して非常に短く設定されています。 法定耐用年数が短いほど、一年あたりに経費として計上できる減価償却費が大きくなるため、課税所得を圧縮し、法人税などの節税に繋がるのです。

「木造 老人ホーム」のデメリットと専門家による対策

多くのメリットがある一方で、「木造」と聞くと、どうしても安全性に関する懸念が頭をよぎるかもしれません。しかし、これらの懸念点は現代の建築技術によって克服されています。ここでは、代表的な懸念点と、私たち専門家が講じる具体的な対策について解説します。

懸念点①:木造の老人ホームの火災への不安を払拭する耐火技術

「木は燃えやすい」というイメージから、火災時の安全性を心配される方は少なくありません。しかし、現在の木造の老人ホームは、厳しい法規制と最新の技術により、鉄骨造にも劣らない高い安全性を確保しています。 例えば、一定以上の厚みを持つ木材は、火にさらされると表面に炭化層を形成します。この炭化層が内部への燃焼の進行を遅らせ、建物がすぐに倒壊することを防ぎます。 さらに、石膏ボードのような不燃材で構造体を覆う「メンブレン型耐火構造」などの大臣認定工法を用いることで、法律で定められた「耐火建築物」としての建設が可能です。

懸念点②:木造の老人ホームの耐久性とメンテナンス

「木造は鉄骨やRCに比べて寿命が短いのでは?」という疑問もよく伺います。確かに木材は湿気やシロアリに弱いという性質がありますが、これも適切な対策で十分にカバーできます。建設時には、地面からの湿気を防ぐ基礎設計や、防腐・防蟻処理を施した木材を使用します。また、雨水の侵入を防ぐための防水設計や、定期的な点検・メンテナンス計画を策定することが木造の老人ホームの長寿命化には不可欠です。世界最古の木造建築である法隆寺が1300年以上もの時を経て現存しているように、木材は適切な管理を行えば非常に長い期間その強度を保つことができる優れた建材なのです。

◆計画前に必須!木造の老人ホームに関わる法律・基準◆

老人ホームは、自力での避難が難しい方も利用するため、建築基準法や消防法など、多くの法律によって厳しい安全基準が設けられています。木造の老人ホームを建設する際には、これらの規制を正しく理解し、設計に反映させることが絶対条件です。

〇建築基準法で定められた木造の老人ホームの耐火要件

老人ホームは、建築基準法で「特殊建築物」に分類され、建物の規模や階数に応じて高い耐火性能が求められます。 具体的には、3階建て以上、または2階の床面積が300㎡を超える場合などは原則として「耐火建築物」としなければなりません。 かつては木造でこの基準をクリアすることは困難でしたが、前述したような耐火技術の進歩により、現在では木造でも3階建て以上の老人ホームや、大規模な老人ホームの建設が可能になっています。 どの耐火要件が適用されるかは施設の用途や規模によって細かく規定されているため、計画の初期段階で専門家と共に確認することが極めて重要です。

〇利用者の安全を守る木造の老人ホームのバリアフリー設計

高齢者が安全かつ快適に利用できるよう、老人ホームには「バリアフリー法」に基づいた設計が求められます。廊下の幅は1.8m以上(中廊下は2.7m以上)とすること、エレベーターを設ける場合を除き傾斜路を設けることなどが義務付けられています。 木材は加工性に優れているため、こうしたバリアフリー設計に柔軟に対応しやすいという利点があります。例えば、利用者の身体状況に合わせて手すりの形状や高さを細かく調整したり、温かみのある木製建具を採用したりすることで、機能性だけでなく、利用者の心にも寄り添った空間づくりが可能です。

 

◆まとめ◆

この記事では、南日本ハウスが、木造の老人ホームについて、そのメリット・デメリットから法律、コスト、そして実際の効果まで、網羅的に解説しました。

木造の老人ホームは、国の木材利用促進やSDGsへの貢献といった社会的な要請に応えるだけでなく、入居者や職員の心身に良い影響を与え、経営面でもコストや工期、税制面で多くのメリットをもたらします。 火災や耐久性といった懸念点も、現代の建築技術と適切な設計・管理によって十分に克服可能です。

老人ホームの建設は、単なる箱作りではありません。そこでの暮らしを、いかに安全で、快適で、心豊かなものにするかという視点が不可欠です。木造の老人ホームは、そのための最も優れた答えの一つであると、私たちは確信しています。

南日本ハウスでは、コストや性能の違いを丁寧にご説明し、お客様の事業計画に最適な構造をご提案いたします。木造建築の可能性について、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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