木造の事務所付き倉庫とはどのような建物なのか、メリット・デメリットや建築費、鉄骨造・RC造との違いを分かりやすく解説します。物流・建設・製造業などに向いているケースや、倉庫と事務所を一体で計画する際のポイントも紹介します。
「事務所と倉庫を別々に建てるより、1棟にまとめられないだろうか」「事務所付き倉庫を木造にすれば建築費を抑えられるのだろうか」とお考えではありませんか。
事務所付き倉庫は、商品の保管や資材管理を行う倉庫と、営業・管理業務を行う事務所を一体化した建物です。業務動線を短縮しやすく、土地や建物を効率的に活用できる点が魅力です。
この記事では、木造の事務所付き倉庫のメリット・デメリット、建築費を左右するポイント、鉄骨造・RC造との違い、向いている業種について分かりやすく解説します。
▼事務所建築についてはこちらの記事をご覧ください!▼
1.事務所付き倉庫とは?木造でも建築できる?
事務所付き倉庫とは、商品・資材・機材などを保管する倉庫部分と、従業員が事務作業や営業管理を行う事務所部分を1棟にまとめた建物です。
例えば、1階を倉庫、2階を事務所にする方法や、建物の前方を事務所、後方を倉庫にする方法があります。
業種や敷地条件によってレイアウトはさまざまですが、倉庫と事務所を別々の場所に設けるより、業務を一体化しやすい点が特徴です。
事務所と倉庫を1棟にまとめるメリット
事務所と倉庫が離れていると、在庫確認や商品の受け渡し、現場スタッフとの打ち合わせのたびに移動が発生します。
同じ建物にまとめれば、
- 在庫確認
- 商品の受け渡し
- 現場スタッフとの情報共有
- 荷物の発送
- 来客対応
などを1つの拠点で行いやすくなります。
建物自体の効率だけでなく、従業員の働き方を考えるうえでもメリットがあります。
木造でも事務所付き倉庫は建築できる
用途、規模、敷地条件、法規制などを満たせば、事務所付き倉庫を木造で建築することは可能です。
従来、倉庫というと鉄骨造をイメージする方が多かったかもしれません。しかし、現在では構造用集成材や金物工法、トラス工法などを活用し、非住宅建築でも木造が選択肢になっています。
特に中小規模の倉庫で、極端に広い無柱空間や高い天井、大量の重量物保管を必要としない場合は、木造を検討しやすくなります。
事務所付き木造倉庫が向いている業種
例えば、以下のような企業と相性があります。
- 建設会社
- 電気・設備工事会社
- 内装工事会社
- 卸売会社
- EC事業者
- 配送会社
- 農業関連企業
- 製造・加工会社
- 自動車関連事業者
「倉庫だけ」「事務所だけ」ではなく、保管・作業・管理を1つの拠点にまとめたい会社に向いています。
2.木造で事務所付き倉庫を建てるメリット
建築コストを抑えやすい
木造の大きなメリットは、鉄骨造やRC造と比較して初期費用を抑えやすいケースがあることです。
特に、中小規模でシンプルな形状の建物では、木造の軽さや施工性を活かすことで建築コストを合理化しやすくなります。
事務所部分については、シンプルな仕様であれば坪単価約70万円前後からを一つの目安として考えることができます。
ただし、これはあくまで事務所部分を想定した目安であり、倉庫を含む建物全体の坪単価ではありません。
事務所付き倉庫では、
- 倉庫面積
- 天井高さ
- 大開口シャッター
- 床の耐荷重
- 空調の有無
- 倉庫内部の仕上げ
- 事務所の設備グレード
によって総工事費が大きく変わります。
そのため、坪単価だけではなく、建物全体の総額で比較することが重要です。
事務所と倉庫間の移動を効率化できる
事務所と倉庫を一体化すると、業務動線を短縮できます。
例えば建設会社であれば、事務所で工程を確認した後、そのまま倉庫から工具や資材を積み込んで現場へ出発できます。
卸売会社であれば、受注内容を事務所で確認し、すぐ隣の倉庫で商品を準備して発送できます。
こうした日々の小さな移動時間を削減できることは、長期的に見ると業務効率の向上につながります。
工期を短縮しやすい
木造は比較的軽量で施工性が高く、鉄骨造やRC造と比較して工期を短くしやすい傾向があります。
新しい営業拠点や物流拠点を早く稼働させたい企業にとって、工期は重要な判断材料です。
完成が早まれば、
- 現在借りている倉庫や事務所の賃料
- 移転期間中の負担
- 新拠点で事業を始められない期間
を抑えられる可能性があります。
建築費だけではなく、「いつから事業を開始できるか」という視点も大切です。
木の雰囲気を事務所部分に活かせる
倉庫は実用性が重視されますが、事務所は従業員や来客が利用する空間です。
木造であれば、構造材や内装材を見せることで、木の温かみを感じられる事務所空間をつくりやすくなります。
倉庫部分は機能的かつシンプルに仕上げ、事務所部分には木質感を取り入れる、といったメリハリのある設計も可能です。
採用活動や来客対応を重視する企業にとって、建物の印象は企業イメージにも関わります。
建物全体を一体的に計画できる
事務所と倉庫を別々に計画すると、それぞれに入口や設備、外構が必要になる場合があります。
一体化することで、
- トイレ
- 給湯設備
- 駐車場
- 休憩スペース
- セキュリティ
- 通信設備
などを共有しやすくなります。
結果として、土地や設備を効率的に使える場合があります。
3.木造の事務所付き倉庫を計画する際の注意点
倉庫部分の大空間をどう確保するか
倉庫では、柱が多いと荷物の配置やフォークリフトの動線を妨げる場合があります。
そのため、必要なスパンを早い段階で決めることが重要です。
木造でもトラス工法や集成材などを活用することで比較的大きな空間を確保できますが、求めるスパンや天井高さによっては鉄骨造の方が合理的な場合もあります。
「木造で建てたい」ことを先に決めるのではなく、倉庫でどのように作業するかを整理してから構造を選ぶことが大切です。
防火・用途地域などの法規制を確認する
事務所付き倉庫を計画する際は、建築予定地の用途地域を必ず確認する必要があります。
用途地域によって、倉庫や事務所を建築できるか、どの程度の規模まで認められるかが異なります。
また、
- 防火地域
- 準防火地域
- 特定用途制限地域
- 地区計画
などの指定がある場合は、さらに条件が加わることがあります。
鹿児島市内でも地域によって建築条件は異なるため、土地を購入する前や計画の初期段階で確認しておくことが重要です。
倉庫と事務所で求められる性能が違う
事務所付き倉庫を計画する際の特徴は、「同じ建物の中に異なる環境が必要」という点です。
倉庫では、
- 広い空間
- 高い天井
- 大きな搬入口
- 強い床
- 換気
などが重要になります。
一方、事務所では、
- 断熱性
- 空調
- 遮音
- 採光
- 通信環境
- トイレ・給湯設備
などが重要です。
倉庫仕様で建物全体を考えると事務所が使いにくくなり、反対に事務所仕様を倉庫全体へ広げると建築費が上がる可能性があります。
必要な部分に必要な性能を持たせることが、コストを合理化するポイントです。
搬入動線と従業員・来客動線を分ける
事務所付き倉庫では、動線計画も重要です。
トラックやフォークリフトが通る場所を、従業員や来客が頻繁に横切る配置にすると、安全面で問題が生じる可能性があります。
そのため、
- トラック搬入口
- 従業員用入口
- 来客用入口
- 駐車場
- 荷さばきスペース
をできるだけ整理して配置します。
建物の内部だけではなく、敷地全体を一つの作業環境として考えることが重要です。
将来の増築やレイアウト変更も考える
事業が成長すると、倉庫面積や事務所スペースが不足することがあります。
例えば、
- 在庫量が増える
- 従業員が増える
- 新しい部署を設ける
- 荷物の種類が変わる
- 車両台数が増える
といった変化です。
建築時にすべてを予測することは難しいですが、将来の増築方向や内部レイアウト変更をある程度想定しておくことで、長く使いやすい建物になります。
4.事務所付き木造倉庫の建築費を左右する要素
事務所と倉庫の面積割合
同じ延床面積でも、事務所と倉庫の割合によって建築費は変わります。
例えば100坪の建物でも、
- 事務所20坪+倉庫80坪
- 事務所50坪+倉庫50坪
では必要な設備や内装が大きく異なります。
一般的に事務所部分は、
- 空調
- 内装
- 照明
- トイレ
- 通信設備
などが必要になるため、倉庫より坪あたりの費用が高くなりやすい傾向があります。
コストを抑えるには、事務所面積を必要以上に大きくしないことも重要です。
倉庫の天井高さ・スパン
倉庫の天井を高くしたり、柱間隔を広げたりすると、構造部材に求められる性能も高くなります。
特に、
- 大型ラックを設置する
- フォークリフトを使用する
- 長尺物を保管する
- 大型車両を屋内へ入れる
といった用途では、必要な寸法を先に決めることが重要です。
必要以上の高さやスパンを設定すると建築費が上がるため、実際の運用から逆算して計画しましょう。
設備仕様
事務所付き倉庫では設備内容も建築費に影響します。
例えば、
- 倉庫にも空調が必要か
- 事務所に何台のエアコンが必要か
- トイレを何カ所設けるか
- シャワー室が必要か
- 給湯室を設けるか
- 防犯カメラを設置するか
によって費用は変わります。
倉庫内でスタッフが長時間作業する場合は、断熱や空調、換気への配慮も必要です。
シャッター・搬入口
大型シャッターや複数の搬入口を設ける場合、建築費は上がります。
ただし、ここを削りすぎると完成後の作業効率が低下する可能性があります。
搬入する車両のサイズや商品の大きさを確認し、本当に必要な開口寸法を決めることが重要です。
地盤・外構・駐車場
事務所付き倉庫では、建物以外にもまとまった外構費用が必要になるケースがあります。
特に、
- 社員駐車場
- 来客駐車場
- トラック待機スペース
- 荷さばき場
- 舗装
- 排水設備
- フェンス
などは計画初期から予算に含めておく必要があります。
建物本体の坪単価だけを見ていると、総工事費との差が大きくなることがあるため注意しましょう。
5.木造の事務所付き倉庫が向いている会社
建設・設備会社
建設会社や電気・設備工事会社では、
- 工具
- 資材
- 車両
- 消耗品
などの保管が必要です。
事務所と資材倉庫を一体化すれば、朝の出発準備や帰社後の片付けを効率化できます。
卸売・物流関連会社
商品の管理と受注・発送業務を同じ拠点で行えるため、卸売会社や地域配送会社にも向いています。
事務所から倉庫の在庫状況を確認しやすく、スタッフ間の連携もしやすくなります。
製造・加工会社
小規模な製造・加工を行う企業では、
「事務所+資材倉庫+作業スペース」
として計画する方法があります。
ただし、機械や作業内容によっては工場用途として扱われる場合もあるため、用途地域や法規制の確認が特に重要です。
EC・小売事業者
EC事業では、
- 商品保管
- 梱包
- 出荷
- 顧客対応
- 事務作業
を一つの建物にまとめることで効率化できます。
事業拡大によって在庫量が増える可能性がある場合は、将来の棚配置や倉庫拡張も考えておくとよいでしょう。
◆まとめ◆
木造の事務所付き倉庫は、事務所と倉庫を一体化することで、建築コストと業務効率の両面でメリットを得られる可能性があります。
特に、
- 中小規模の建物
- 資材や商品を日常的に出し入れする会社
- 事務所と倉庫間の移動を減らしたい会社
- 建築費を抑えたい会社
- 地域拠点を新設したい会社
には有力な選択肢です。
一方で、倉庫部分では大空間や床荷重、搬入口が重要になり、事務所部分では断熱・空調・遮音・通信環境などが必要になります。
また、用途地域や防火規制によっては建築できる用途や規模が制限されるため、土地選びの段階から確認することが重要です。
事務所付き倉庫では、「建物を安く建てる」ことだけではなく、完成後の業務効率まで考えて計画しましょう。
木造の事務所付き倉庫をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
南日本ハウスでは、鹿児島市を中心に、事務所・倉庫などの非住宅木造建築をご提案しています。
「事務所と倉庫を1棟にまとめたい」「鉄骨造と木造のどちらがよいか比較したい」「現在の土地に建築できるか確認したい」といった計画初期の段階からでもご相談いただけます。
建築費だけでなく、従業員の動線や車両の出入り、将来の事業拡大まで見据えながら、使いやすい建物を一緒に検討していきましょう。
非住宅木造建築をご検討中の方はお気軽にご相談ください。
▼資料請求はこちらから▼




